上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
今日は少し趣向を変えて「ロリータ」(ナボコフ作、若島正訳、新潮文庫)についてです。
何かと評価が高い新訳版ですが確かに読みやすかったです。(旧訳は読んでいませんので、旧訳との比較においてではありません。)またロリータにいわゆる「ギャル語」を話させているのも、ロリータの「低俗で早熟」だけど「傷つきやすく」それでいて案外「けろっとして元気な」キャラをうまく表現していてなかなか面白かったです。

私はこれを「少女への倒錯を描いた変態中年の話」であるとは感じませんでした。この小説以上に「変態でイカレた」現実を知っているからでしょうか、むしろ主人公に感じたのは、「不健全な変態さ」ではなく「強烈な自己愛」でした。彼の言葉を通して語られるアメリカの景観や、そこでの彼の感傷癖は自己愛の表れだと思います。もちろんロリータに対する愛情の注ぎ方もまた然りです。

ただそういった彼の自己愛によって紡ぎだされた世界(現実はきっと違うはず)にいると、不思議と読み手までもが感傷的になったのも事実です。確かに彼の欲望は倒錯していてその自己愛は健全ではないでしょう。それでも私にとって彼が描いた世界(本作品は主人公の告白録)は理解可能で、内面的な感じ方においては共感可能なレベルでした。(恐ろしくナイーブかもしれません。)

ちなみに本書の中で私がもっとも心を揺さぶられたのは、主人公が妊娠したドロレスと再開した場面です。原因は主人公ではなく妊娠したドロレスです。ただどうしてなのかということは説明しません。野暮な気がしますので。
スポンサーサイト
  
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。